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血液検査でわかる腫瘍マーカー

腫瘍マーカーは、がんの種類によって特徴的に作られるタンパク質などの物質です。がん細胞やがん細胞に反応した細胞によって作られます。
がんの有無やがんがある場所は画像検査など、他の検査の結果も合わせて医師が総合的に判断します。

●CEA
◆消化管の癌を中心に、最も多く用いられます。
大腸癌をはじめとする消化器癌、膵癌、肺癌などのさまざまな臓器由来の癌に幅広く出現するため、その診断の指標として有用性が認められています。なお、高齢者や喫煙者では若干高値をとる傾向がみられます。
高値を示す病態:大腸癌、胃癌、肺癌、転移性肝癌、胆道癌、食道癌、乳癌、子宮癌、慢性肝炎、肝硬変、閉塞性黄疸、胆石症、消化管潰瘍

●CA19−9
◆膵癌、胆道癌をはじめとする各種消化器癌で上昇します。
膵癌、胆道癌をはじめとする各種消化器癌に高頻度、高濃度に検出され、優れた腫瘍マーカーとしてその臨床的評価が確立しており、最もよく測定される腫瘍マーカーの一つです。良性疾患における疑陽性率は低く、その場合も100U /mlを超えるような異常高値例は比較的稀です。
高値を示す病態:膵癌、肝細胞癌、肝内胆管癌、大腸癌、慢性肝炎、肝硬変、胆石症、消化管潰瘍

●AFP
◆肝細胞癌で上昇します。肝炎や肝硬変でも軽度~中等度上昇をみます。
400ng/mlを超える例では肝細胞癌の可能性が極めて高いと言われています。AFP値の上昇する 良性疾患もその多くは肝疾患です。慢性肝炎で軽度(~100ng/ml)、肝硬変で中等度(~400 ng/ml)の上昇をみます。妊娠後期には、胎児が産生したAFPが母体中にも検出されます。
高値を示す病態:肝細胞癌、急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、妊娠後期

●PSA
◆前立腺癌で著明に上昇します。前立腺肥大、急性前立腺炎でも上昇します。
前立腺癌で著明に増加し、また病勢をよく反映して変動することから、診断の指標になります。良性疾患の鑑別から前立腺癌の早期発見に有用です。高齢男性のPSAを測定すると前立腺肥大症によっても高率に陽性となるため、基準値4.00ng/mlを超えても直ちに癌と即断はできませんが、 10.0ng/mlを超える場合は前立腺癌を強く疑います。
高値を示す病態:前立腺癌、前立腺肥大症、急性前立腺炎

●CA125
◆主に卵巣癌に有効です。
成人の卵巣、子宮内膜、腹膜および胸膜の癌ないし炎症性疾患では著明な増加が認められ、とりわけ卵巣癌に極めて高い陽性率を示します。また、その他の婦人科癌あるいは胆肝膵領域の癌にも一定の有用性が認められます。子宮内膜症と子宮筋腫の鑑別にも用いられます。
高値を示す病態:卵巣癌、子宮体部癌、肝細胞癌、胆道癌、膵癌、子宮内膜症、腹膜炎、胸膜炎
(月経中および妊婦も軽度上昇をみる)

●Span-1
◆膵癌をはじめとする各種消化器癌で上昇します。
主に膵癌をはじめとする消化器癌に高率に出現します。良性疾患での疑陽性率が極めて低いため特異的な癌の診断に有用な指標とされます。
高値を示す病態:膵癌、肝細胞癌、胆道癌、肝内胆管癌、大腸癌、慢性膵炎

●Dupan-2
◆膵癌、肝・胆道癌で上昇します。
膵癌、肝・胆道癌には特に高い陽性率を示し、これらの悪性疾患の診断に有用な指標となります。
高値を示す病態:膵癌、肝細胞癌、胆道癌、肝内胆管癌、大腸癌、慢性膵炎、慢性肝炎、肝硬変、胆石症、消化管潰瘍

●CYFRA
◆肺の扁平上皮癌および腺癌の診断に有用です。
肺の非小細胞癌、とりわけ扁平上皮癌や腺癌で多量に産生されます。また、各種婦人科癌でも高値を示します。加齢に伴ってやや高値を呈する例があります。
高値を示す病態:肺扁平上皮癌、肺腺癌、卵巣癌、子宮頸部扁平上皮癌、再発乳癌

●SLX
◆肺腺癌など、腺癌に有用です。
膵癌をはじめとする消化器系癌にも出現するものの、むしろ肺癌や卵巣癌などの腺癌に高頻度に増加します。良性疾患における疑陽性率は低いと言われています。
高値を示す病態:肺癌、卵巣癌、子宮癌、膵癌、肝細胞癌、胆道癌、大腸癌

●Pro GRP
◆肺小細胞癌に特異的に上昇します。
肺小細胞癌において高い陽性率と特異性を示します。間質性肺炎や胸膜炎で基準値を上回る例もあります。
高値を示す病態:肺小細胞癌、その他の肺癌

●P53抗体
◆癌の早期発見に有用です。
根治のできる早期の段階で発見できるため、他の腫瘍マーカーとの組み合わせ検査を推奨されています。疑陽性率が低く、陽性判定の精度が高い腫瘍マーカーです。

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