寒くなるとトイレが近くなるのはなぜ? 過活動膀胱と「冷え」の密接な関係
寒い季節になると、「急にトイレに行きたくなる」「回数が増えた」と感じる方は多いのではないでしょうか。過活動膀胱(OAB)をお持ちの患者様にとって、冬の寒さは特に厄介な問題となります。
過活動膀胱は、「尿意切迫感(急に起こる我慢できない強い尿意)」を必須の症状とする疾患です。
寒さが過活動膀胱の症状を悪化させるメカニズム
当院では、過活動膀胱の治療として、薬物療法と並行して「行動療法」(生活習慣の見直し)を重視しています。実は、生活習慣の改善の中には、寒さ対策も含まれています。
過活動膀胱と生活習慣には関係があると考えられており、生活指導において、長時間の座位や下半身の冷えを避けることなどが提唱されています。
寒さが体に与える影響はいくつか考えられますが、特に下半身の冷えは膀胱の働きに影響を及ぼしやすいため、注意が必要です。冷えにより交感神経が刺激されたり、血流が悪化したりすることで、膀胱が過敏になり、尿意切迫感や頻尿といった過活動膀胱の症状が悪化すると考えられています。
生活習慣(行動療法)のポイント
過活動膀胱の治療において、生活習慣の改善(生活指導)は推奨されている取り組みです。
「冷え」対策を含め、症状の改善に役立つ具体的な生活指導のポイントをご紹介します。
1. 下半身の冷えを避けること
下半身の冷えを避けることは重要な生活指導の一つです。衣類や室温調整により、腹部や足腰を温かく保ちましょう。
2. 適正な飲水とカフェイン・アルコール制限
過活動膀胱の症状改善には、飲水量をはじめとする食事・飲水指導が推奨されています。
- カフェイン・アルコール制限: 過度のカフェインやアルコール摂取の制限も提唱されています。コーヒーやお茶、コーラなどに含まれるカフェイン摂取を制限することで、下部尿路症状が改善する可能性が示唆されています。
3. 体重管理と適度な運動
肥満はOABのリスク要因の一つです。食事療法と運動療法の併用による体重減少は、過活動膀胱の治療として高く推奨されます。
4. 便秘の改善
便秘は過活動膀胱のリスクになりうるため、便秘の治療も重要です。
まとめ
過活動膀胱の治療では、薬物療法だけでなく、こうした日々の生活習慣の見直しが非常に大きな効果を発揮します。特に寒さが厳しい時期は、体を温め、飲水量を適切に管理することで、つらい尿意切迫感や頻尿の症状を和らげることが期待できます。
症状でお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。

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