「手や脇の汗が気になるけれど、体質だから仕方ないのかも…」とお悩みではありませんか? 実は、日常生活に支障をきたすほどの発汗がある場合、「多汗症」という病気の可能性があります。多汗症は珍しい疾患ではなく、適切な治療によって症状の改善が期待できます。
■ 多汗症(手掌多汗症・腋窩多汗症)とは? 多汗症は、気温や運動とは関係なく、大量の汗が特定の部位に出る状態を指します。脇の下に多く汗をかく「腋窩多汗症」、手のひらに多く汗をかく「手掌多汗症」などがあり、原因となる病気や薬がない場合は「原発性局所多汗症」と診断されます。 日本では、手掌多汗症の患者さんが約493万人、腋窩多汗症が約532万人いると推定されており、決して少なくありません。多くの場合、10代で症状が現れ始めます。
■ 多汗症の診断基準 以下の6項目のうち、2項目以上に該当し、6カ月以上症状が続いている場合は原発性局所多汗症と診断されます。
- 初発が25歳以下である
- 左右対称に発汗がみられる
- 睡眠中は発汗が止まる
- 発汗頻度が週に1回以上ある
- 家族にも同様の症状がある
- 日常生活に支障をきたしている
■ 多汗症の治療について 多汗症の治療は、症状の程度やライフスタイルに応じて選択されます。
・外用薬(塗り薬)
- アポハイドローション(手掌多汗症用):1日1回、就寝前に手のひらに塗布。日本で初めて手掌多汗症に保険適用。
- エクロックゲル(腋窩多汗症用):1日1回、両脇に塗布。アプリケーター付きで使用しやすく、保険適用。
- ラピフォートワイプ(腋窩多汗症用):使い切りのワイプで両脇に塗布。保険適用。
- 塩化アルミニウム外用薬:汗腺の出口を塞ぐ作用があり、比較的軽度な症状に用います。
・■ まずはお気軽にご相談ください 「汗が多くて困っているけど、病気かどうかわからない」という方も、まずは一度医師にご相談ください。適切な診断と治療によって、日常生活の支障を減らすことが可能です。