夏の危険「熱中症」を知って、元気に夏を乗り切りましょう
ここ数年、日本の夏は記録的な暑さが続いており、それにともない「熱中症」で体調を崩す方が急増しています。重症化すると命にかかわることもあり、いまや社会全体で取り組むべき重要な健康課題です。
熱中症は「夏の災害」とも呼ばれ、暑さに体がうまく適応できずに起こるさまざまな症状の総称です。軽いめまいや立ちくらみから、意識障害などの重症例まで、幅広い症状があります。
しかし、正しい知識と対策を身につけていれば、多くの場合、熱中症は予防することが可能です。
熱中症になりやすい方とは?
熱中症はどなたでもかかる可能性がありますが、特に以下のような方は注意が必要です。
- ご高齢の方:体温を調節する機能が低下し、暑さを感じにくい傾向があります。屋内にいても発症することが多く、重症化しやすいのが特徴です。
- 小さなお子さま:体温調節機能がまだ未熟なため、体内に熱がこもりやすくなります。
- 持病をお持ちの方:心臓病、糖尿病、脳血管障害、精神疾患などをお持ちの方は、熱中症のリスクが高まります。利尿剤など、一部のお薬を服用されている方も注意が必要です。
- 暑さに慣れていない方:梅雨明けなど急に暑くなる時期は、特に体が順応していないため発症しやすくなります。
- 屋外で活動される方:スポーツや外作業、肉体労働などによって体内に熱がこもりやすい状態になります(いわゆる労作性熱中症)。
- 屋内でも注意が必要です:特に高齢の方は、エアコンを使わずに過ごすことで、室温上昇に気づかずに熱中症になるケースが増えています。
熱中症のサインを見逃さないために
「いつもと違う」「なんだかおかしい」――その感覚が、熱中症の初期サインであることもあります。
軽度の症状(すぐに対処できれば回復可能です)
- めまいや立ちくらみ、生あくび
- 大量の発汗、筋肉痛や足がつる(こむら返り)
中等度の症状(医療機関での診察が必要です)
- 頭痛、吐き気、体のだるさ
- 集中できない、ぼんやりする
重度の症状(すぐに救急車を要請してください)
- 意識がもうろうとしている、反応がおかしい
- けいれんを起こす
- ふらつきや歩行困難
熱中症かも?と思ったときの応急処置
ご自身や周囲の方に熱中症の疑いがあるときは、すぐに次の対応を行いましょう。
- 涼しい場所へ移動しましょう
エアコンの効いた室内や日陰、風通しのよい場所へ避難してください。 - 体を冷やしましょう
衣類をゆるめ、首、脇の下、足の付け根などを濡らしたタオルで冷やしましょう。うちわや扇風機で風を送るのも効果的です。 - 水分と塩分を補給しましょう
スポーツドリンクや経口補水液(OS-1など)がおすすめです。水だけを大量に飲むと、かえって体内のバランスを崩すことがあるため、塩分も一緒に補給することが大切です。
次のような場合は、ためらわずに医療機関へ
- 呼びかけに反応しない、意識がはっきりしない
- 自分で水分が摂れない
- 対処しても症状がよくならない、むしろ悪化している
このような場合には、すぐに当クリニックへご来院いただくか、救急車(119番)を呼んでください。
日ごろからできる熱中症予防
熱中症は、ちょっとした心がけで防ぐことができます。以下のポイントを意識しましょう。
- こまめな水分・塩分補給を習慣に
のどの渇きを感じる前に水分を摂ることが大切です。特に大量に汗をかいたときは、塩分も一緒に補いましょう。 - 室内の温度管理をしっかりと
エアコンや扇風機を上手に使い、室温が高くなりすぎないようにしましょう。ご高齢の方は無理をせず、涼しい環境でお過ごしください。 - 外出時は暑さを避ける工夫を
日傘や帽子を活用し、できるだけ日陰を歩くようにしましょう。炎天下での活動は避け、なるべく涼しい時間帯に行動してください。 - 「暑さ指数(WBGT)」をチェック
気温・湿度・日射などを総合した指標で、熱中症の危険度を示します。環境省の熱中症予防情報サイトなどで確認できます。 - 暑さに慣れる準備をしておく(暑熱順化)
日ごろから適度に汗をかくことで、体が暑さに強くなります。入浴や軽い運動を取り入れ、少しずつ暑さに慣れておきましょう。 - 十分な休養と睡眠を
疲労や寝不足は、熱中症のリスクを高めます。日ごろから体調管理を心がけましょう。
当クリニックでできること
当院では、軽度~中等度の熱中症に対する診察や点滴治療などを行っております。
「この症状、熱中症かも?」と思ったときや、「どう予防したらいいか不安…」という方も、お気軽にご相談ください。
重症と判断される場合には、速やかに適切な医療機関へのご紹介も行っております。
まとめ
夏の暑さに負けず、健康に過ごすためには、正しい知識と予防が何よりの対策です。
少しでも体調に不安を感じたら、我慢せず早めにご相談ください。
私たちは地域の皆さまの健康を、日々の診療でサポートいたします。