今年の夏は、例年以上にけがへの注意が必要です。特に、重症化すると最悪の場合には死に至ることもある「破傷風」について、皆さまに知っておいていただきたいことがあります。
破傷風とは?土からの感染とその危険性
破傷風は、土の中に存在する「破傷風菌」が、主に傷口から体内に入ることで発症する病気です。破傷風菌が体内に入ると、筋肉を麻痺させる毒素を出し、足首が上がらなくなったり、食べ物が飲み込めなくなったりといった症状を引き起こします。
突然のワクチン出荷停止:今、何が起きているのか?
通常、汚れたけがをした際には、破傷風の発症を防ぐために「破傷風トキソイド」というワクチンが接種されます。このワクチンによって、破傷風の発症が防がれ、近年は感染者が大幅に減少していました。
しかし、約2週間前、国内シェアの多くを占める製造元である「デンカ」が、突然「破傷風トキソイド」の出荷停止を発表しました。理由としては「製造工程の適格性の検証結果に疑義が生じた」ためとされています。デンカは「出荷の再開見込みについては申し上げられない。1日でも早く再開できるように取り組んでいる」としていますが、現時点での再開時期は不明です。
今年の夏は「とにかくけがをしない」ことが最重要
ワクチンの出荷再開が見通せない今、破傷風の発症を防ぐために最も大切なのは、とにかくけがをしないことです。特に、以下のような状況での土などで汚れる可能性のある深い傷(切り傷、刺し傷など)には厳重な注意が必要です。
- 農作業中のけが: 鎌などの農機具や、枯れ枝によるけが。
- 解体作業中: 古釘や錆びた釘などを踏んでしまうけが。
- 海の岩場でのけが: 貝殻やガラスの破片などにもご注意ください。
- 交通事故: 体の奥深くまで及ぶ大きなけが。
- 動物にかまれるけが。
- 熱中症などで転倒して負うけが。
海や山でのレジャー、庭仕事やDIYなど、外での活動が増える夏。どうぞ、いつも以上にけがに気を付けてお過ごしください。万が一、深い傷を負ってしまったり、土などで汚れてしまったけがをされたりした場合は、速やかに医療機関にご相談ください。