冬場に流行するノロウイルスによる腸炎(感染性胃腸炎)は、嘔吐や下痢を引き起こす非常に感染力の強いウイルス性の病気です。家庭や学校、介護施設などで集団感染が起こりやすいため、正しい知識を持って予防することが大切です。
ノロウイルス腸炎の原因
ノロウイルスは、わずか10~100個ほどのウイルスで感染が成立するほど強い感染力を持っています。主な感染経路は以下の通りです。
- 経口感染(食べ物・水を介して感染)
- 汚染された食品(特にカキなどの二枚貝)を十分に加熱せずに食べた場合。
- 感染者の手を介して調理された食品を食べた場合。
- 接触感染(人や物を介して感染)
- 感染者の便や嘔吐物に触れた手で口を触ることで感染。
- ウイルスが付着したドアノブや手すり、タオルを触った後、口や鼻に触れることで感染。
- 飛沫感染(空気を介して感染)
- 感染者の嘔吐物が乾燥し、ウイルスが空気中に舞い、それを吸い込むことで感染。
ノロウイルスの予防法
ノロウイルスはアルコール消毒が効きにくいため、しっかりとした対策が必要です。
- こまめな手洗い
- 石けんと流水で30秒以上しっかり洗う。
- 特に食事前、調理前、トイレ後、嘔吐物処理後は念入りに。
- 食品の加熱処理
- ノロウイルスは85~90℃で90秒以上の加熱で死滅。
- カキなどの二枚貝は十分に加熱してから食べる。
- 嘔吐物・排泄物の適切な処理
- 使い捨て手袋とマスクを着用し、次亜塩素酸ナトリウム(家庭用漂白剤)で消毒。
- 汚れた衣類は85℃以上の熱湯で消毒し、他の衣類と分けて洗う。
- 感染者との接触を避ける
- 感染者がいる場合、タオルや食器を共有しない。
- トイレや洗面所はこまめに消毒する。
ノロウイルス腸炎の治療法
現在、ノロウイルスに対する特効薬はありません。症状が治まるのを待ちながら、対症療法を行います。
- 水分補給をしっかり行う
- 嘔吐や下痢で脱水症状になりやすいため、こまめに水分を補給する。
- 経口補水液(OS-1など)やスポーツドリンク、薄めた味噌汁などが効果的。
- 一度に大量に飲むと吐きやすいため、少しずつ飲むのがポイント。
- 安静にし、無理に食べない
- 吐き気が強い間は無理に食べず、水分補給を優先。
- 症状が落ち着いたら、お粥やうどんなどの消化の良い食べ物から再開する。
- 医療機関を受診するべき場合
- **水分が摂れない、激しい脱水症状(めまい、意識低下、尿が出ない)**がある場合。
- 高齢者や乳幼児、基礎疾患がある人で症状が重い場合。
- 嘔吐や下痢が長引く場合(3日以上続く)。
まとめ
ノロウイルスは非常に感染力が強く、家庭内でもすぐに広がります。手洗いや食品の加熱、適切な消毒を徹底し、感染を予防しましょう。万が一感染した場合は、水分補給をしっかり行い、無理せず安静にすることが大切です。症状が重い場合は早めに医療機関を受診しましょう。
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