年末の大掃除シーズンが到来しました。普段より強力な洗剤を使ったり、長時間水仕事を行ったりするこの時期は、多くの方が辛い「手荒れ」に悩まされます。
赤みやかゆみ、ひび割れといった症状は、医学的には**「手湿疹」**(主婦の方に多いため「主婦湿疹」とも呼ばれます)という皮膚炎です。
「毎年恒例だから仕方ない」と諦めていませんか?
実は、少しの工夫で手肌へのダメージは大幅に軽減できます。今回は、皮膚科学に基づき、大掃除を乗り切るための正しい手荒れ対策をご紹介します。
なぜ大掃除で手荒れが悪化するのか?
私たちの皮膚は、一番外側にある「角層」と「皮脂膜」によって、外部の刺激から守られ、内部の水分を保持する「バリア機能」が備わっています。
しかし、洗剤(界面活性剤)やお湯は、このバリア機能に必要な皮脂を強力に洗い流してしまいます。さらに、掃除中の摩擦も角層を傷つけます。その結果、バリア機能が壊れ、皮膚は無防備な状態となり、少しの刺激でも炎症を起こしやすくなるのです。
手肌を守る大掃除の鉄則3つ
手湿疹の予防と治療の基本は、「刺激の回避」と「保湿」の徹底です。
鉄則1:手袋の「正しい」着用方法をマスターする
最も重要なのは、水や洗剤に素手で触れる時間を極力短くすることです。「少しだけだから」と油断せず、必ず手袋を着用しましょう。
しかし、「ゴム手袋をしているのに荒れる」という声もよく聞かれます。これは、ゴム自体の刺激や、手袋内部の汗による「蒸れ」が原因かもしれません。
「木綿の手袋」+「保護手袋」の二重構造がおすすめです。
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薄手の木綿(コットン100%)の手袋をはめる。
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その上から、水仕事用の手袋を重ねる。
木綿の手袋が汗を吸収し、蒸れによる皮膚のふやけやかゆみを防ぎます。また、ゴムが直接肌に触れることによる刺激も防げます。木綿の手袋が湿ったら、こまめに交換しましょう。
【手袋の素材選び】
天然ゴム(ラテックス)製はアレルギーを引き起こすことがあるため、手荒れしやすい方は塩化ビニール製やニトリル製(合成ゴム)の手袋が推奨されます。
鉄則2:熱いお湯はNG!「ぬるま湯」を使う
寒い時期は温かいお湯を使いたくなりますが、温度が高すぎると必要な皮脂まで簡単に洗い流してしまい、乾燥を劇的に悪化させます。
水仕事や手洗いの際は、少し冷たいと感じるくらいの「ぬるま湯(35℃前後)」を使うように心がけましょう。
また、掃除後や合間の手洗いも、低刺激性の石鹸をよく泡立てて優しく洗い、すすぎ残しがないように注意してください。
鉄則3:掃除後は「即時」保湿ケア
手を洗った直後から、皮膚の水分は急速に失われていきます。手荒れを防ぐ最大のポイントは、「濡らしたら、間髪入れずに保湿する」ことです。
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優しい拭き方: ゴシゴシ擦らず、清潔なタオルで押さえるように水分を完全に拭き取ります。
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タイミング: 手を拭いたら数分以内に保湿剤を塗るのが理想です。
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塗り方: ハンドクリームは人差し指の第一関節分くらいの量をたっぷりと使いましょう。擦り込むのではなく、手の甲、指の間、爪の周りまで優しく「乗せる」ように広げます。
【効果的な保湿成分】
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ヘパリン類似物質、セラミド: 高い保湿力があり、バリア機能をサポートします。
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尿素: 硬くなった角質を柔らかくする効果があります。(※傷にしみる場合は避けてください)
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ワセリン: 皮膚の表面に膜を作り、強力に保護します。
寝る前のスペシャルケア
日中はこまめな保湿を心がけ、夜寝る前にはスペシャルケアを取り入れましょう。たっぷりと保湿剤を塗った後に「木綿の手袋」をして休むと、保湿成分の浸透が格段に高まり、寝ている間に無意識に掻いてしまうことからも皮膚を守れます。
まとめ
手湿疹は一度なると治りにくく、再発しやすいのが特徴です。正しい予防ケアを実践し、綺麗な手肌で新年を迎えましょう。
セルフケアで改善しない場合や、強いかゆみ・水ぶくれがある場合は、我慢せずに早めにご相談ください。

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